29
June
【ライフ・ストーリー】元・反基地活動家の告白
元・反基地活動家の告白
かつて、悲惨な戦いを経験した沖縄で、「平和」を掲げて反基地活動に熱心に取り組んだKさん。しかしその胸中は、米軍や本土への恨みや怒りに満ち、「平和」とは正反対の状態だったと振り返ります。そんなKさんが、心の安らぎを取り戻した歩みを紹介します。
(K.Kさん/沖縄県/男性/「ザ・伝道」第215号より転載・編集)
本当の平和を目指して
身近にあった「戦争」
私は、自分が生まれ育った地・沖縄が、大好きです。二度とこの地を、戦争の舞台にはしない。そう思って、かつては反基地活動に身を投じた時期があります。そこで経験した、自分のつたない歩みを、反省も込めて告白したいと思います。
私が生まれたのは、「あの戦争」から10年以上が経ったころ。生活は復興し、落ち着きを取り戻してはいましたが、戦争の傷跡は生々しく残っていました。少し歩けば、民家の塀に沖縄戦の銃弾痕があったり、サトウキビ畑には戦争で亡くなった人の遺骨がまだ転がっていて、祖母から「不用意に近づかないように」と言われていました。私を含む沖縄の人間にとって、「戦争」とは常に身近なものだったのです。今も覚えているのは、小学4年生のとき母から告げられた一言です。
「うちの父ちゃんには昔、首ちりどぅし(無二の親友)がおった。いつも肩組んで歩いて、四六時中一緒で、寝るときも一緒だったのが、沖縄戦で徴兵されて、二度と戻って来なかったさー」
普段は朗らかな父に、そんな過去があったとは――。
(大事なものは、いつか突然、ぱっと奪われるんだ)
父の横顔を思い出すたび、幼な心にそんな思いを抱くようになっていきました。